アクアリウムの世界では20〜30リットル入るような30cm水槽も完全に「小型水槽」扱い。1〜2リットル程度のボトルや10リットル未満の小型水槽とはまったく話が違ってきます。
※以下、超小型水槽=30cm未満・10リットル未満の水槽を指します。
- 水槽で生き物を飼ったことがない
- 省スペースでボトルアクアリウムもしくは小さな水槽を立ち上げてみたい
- どんな生体を選べばいいか分からない
- 道具の役割や必要性が分からない
私は以上のような状態から情報を取捨選択するのに四苦八苦したので、これから超小型アクアリウムをやってみたい方に向けてポイントを整理したいと思います。
アクアショップが近くにあれば、店員さんに色々尋ねるのが一番おすすめです。
Contents
ボトルや水槽の設置場所を確認する
まず設置場所を確認します。
面が平らで、揺れたり倒れたりする恐れがない安全な場所、直射日光が当たらず本が読めるくらいの明るさの環境が良いと言われています。
私は最初、寝室の小さなサイドテーブルでボトルアクアリウムを始めたのですが、ボトルを置いてみて初めてテーブルがガタついていることに気がつきました。さらに、直射日光は当たらないものの朝の日差しが強く、水温がかなり上がってしまいました。
ボトルや超小型水槽は移動できるのがメリットですが、あらかじめ設置場所をしっかり確認をしておくと良いです。
何を飼いたいか決める
ボトルアクアリウムや超小型水槽に向いている生体とそうでない生体があります。
なぜなら、水が少ない分、水質や水温が変わりやすかったり、ろ過やエアレーション装置を導入しづらかったりで、水質が悪くなりやすいからです。
超小型アクアリウム向きの生体としては、メダカ・アカヒレ・ベタ・ミナミヌマエビ・チェリーシュリンプなどが挙げられます。
私はメダカ2匹とチェリーシュリンプ3匹で始めました。
繁殖させたいなら混泳はやめた方が良いそうです。(うちではチェリーシュリンプがどんどん増えて水槽を大きくすることになりました)
ボトルアクアリウムと水槽はどっちがいい?
ひと口に超小型アクアリウムといっても、ボトルと水槽では扱いが違ってきます。実際にやってみた実感として、それぞれの良い点・悪い点を挙げます。
ボトルアクアリウム
- 自宅にあるもので手軽に始められる
- 簡単に移動できる
- 蓋つきの場合、必要があれば密閉できる
- 装置や配線がなく見た目がいい
- ろ過装置などの道具を(ほぼ)設置できないので、生体は基準より少なめにし、こまめにメンテナンスする必要がある
- ボトルが深かったり開口部が小さい場合、メンテナンスしづらい
- ボトルの形や質によっては生体が見えづらい
ろ過機など道具を設置できない、というのは、例えボトルに入る大きさの装置があったとしても、水流が強くなりすぎるなどの問題で使えない可能性が高いからです。
また、温度計など吸盤で貼り付けるタイプの道具も、カーブ面にうまく固定できず私の環境では使用できませんでした。
メリットはわかりやすいですね。手軽で可愛らしく、取り回しがききやすいのはボトルの特徴です。密閉できることをあげているのは、私が殺虫剤でシュリンプを死なせてしまったことがあるからです(泣)
超小型水槽
- 水質管理がしやすい
- ろ過装置などの道具が設置できる
- 生体が見やすい
- ボトルほど省スペースではない
- 密閉できない
- 一度立ち上げると取り回しがききづらい
超小型水槽の場合、設置できる道具は限られてきますが、それでもボトルよりは幅が広がります。水流を工夫すればろ過装置をつけることも可能です。
ボトルから水槽に引っ越した時は、ガラスがクリアで魚やエビがよく見えるのが感動でした。
デメリットとしては、ボトルほど取り回しがききづらい点、また、ろ過装置などを使用する場合は電源の位置を気にする必要があったり、多少電気代がかかる点でしょうか。
個人的には、置けるのであれば水槽の方がおすすめです!
私がファースト水槽に選んだこちらは3Lの超小型ながら横幅と高さが17cmあり、ギリギリ補助用具を設置できていました。
10Lくらいから水槽の選択肢がぐんと増え、横幅も30cm程ある物が増えるので道具や装置も設置しやすくなります。
いろんな道具があるけど、どんな役割?何が必要?
超小型アクアリウムに使用することができる、装置や道具について紹介します。
ろ過装置:水を綺麗にする役割
水槽内の水を吸い込み、ろ過材を通して吐き出します。ろ過器、フィルターとも呼ばれます。
水中の糞やゴミを集めてくれたり、有害物質を分解するバクテリアの定着を助けたりとメリットは大きいのですが、ボトルや小さな水槽では水の循環によって発生する水流が、生体のストレスになったり、最悪体力を奪われて死んでしまうこともあり得ます。
逆にろ過装置を設置しない環境では、生体の数を抑えたり、水換えをこまめに行うなど、水を綺麗に保つ工夫をする必要があります。
ろ過装置には、投げ込み式フィルター、外掛けフィルター、底面フィルター、スポンジフィルターなど様々なタイプがありますが、もし水槽が15cm程度の場合はろ過機能が強すぎない投げ込み式フィルターの一番小さいものが現実的な選択肢かと思います。
投げ込み式フィルターにもエアポンプを接続するタイプと、水中ポンプが一体化したタイプの二種類あります。メジャーなのは前者で(よく見る球根みたいな形のぶくぶく)、大きめのボトルアクアリウムや金魚鉢などで使用されているのも見かけますね。
私は水流を極力抑えるため、後者でシャワーパイプの排水を壁に当てて使用しています。油膜の発生も防げ、今のところいい感じです。
エアレーション:水中に酸素を取り込む役割
エアレーションを兼ねるろ過装置を使用するか、エアポンプで空気を送り込む方法があります。超小型アクアリウムで、ろ過装置と別にエアレーションを設けるのは難しいし、必要性もあまりないかと思います。
ポンプタイプの投げ込み式フィルターはエアレーション機能を兼ねていますし、水中ポンプタイプのものでも水面を揺らし続けることで空気中の酸素を取り入れています。
上で紹介した生体はろ過&エアレーションなしでも飼育可能なので、目指す環境に合わせて導入するかどうかを決める感じかと思います。私はろ過もエアレーションもなしで始めたのですが、水面に発生する油膜が気になったのと、あまりの可愛さにエビを増やしてしまったので小さなろ過装置をつけました。
ちなみにエアポンプはこういうものですね。別途エアチューブやエアストーンなどが必要です。
ちなみに「酸素を出す石」というものもありますが、エビを飼う場合は要注意です。
エビが苦手とするアルカリ性の水質へ変化させてしまうそうで、パッケージにもエビへの使用は推奨しないと記載があります。
底床:バクテリアの住みか
床材は見た目をいい感じにするためだと思っていたら、とても大事な役割がありました。糞や有害物質を分解してくれるバクテリアの住みかです。
種類は、砂・大磯(砂利)・ソイル(土を焼いて固めたもの)などがあります。私は初めに、メンテナンスが容易で交換の必要がない大磯(砂利)を選びました。水草やシュリンプをしっかり育てるのであれば、ソイルが良いようですね。
水草:水の浄化、光合成による酸素供給、隠れ家、エビの餌
水草はメリットが多いので、丈夫で手がかからないものを少し入れておくと良いかも。なぜ少しかというと、植物も呼吸するため夜間に水槽の中が酸欠になる可能性があるんですね。
おすすめはマツモとウィローモスです。
マツモは植える必要がなく、適当に浮かべておけば勝手に成長してくれますし、ウィローモスはあらかじめ石や流木に巻かれているものを購入すれば見栄えも良く楽です。
水草を導入する際の注意点は、とにもかくにも「農薬」です。完全無農薬のものでない場合は、「水草その前に」などを使用して残留農薬を取り除きましょう。農薬が残っていると、特にエビは全滅してしまうおそれがあります。
照明:水草の成長を促す、生体の生活リズムを整える
水槽用のライトは、単に水槽内をいい感じに見せるだけではなく、水草の光合成を促したり、点灯時間を管理することで生体の体内リズムを整えるなどの役割があります。
水草メインの水槽には専用の照明が必ず必要で、そうでない水槽でも是非「あった方がよい」道具です。
とはいえ超小型水槽に適した照明はなかなかないのが現実。。こういうフレキシブルなタイプでも大体20cmくらいあります。
私も最初は照明を設置できなかったので、明るい場所でできるだけ光を取り入れるようにしていました。コケの発生や水温上昇には注意です。
水温計:水温の確認
超小型アクアリウムでは想像以上に水温が上下します。魚やエビに影響が出てからでは遅いので、こまめに確認していました。
数百円から小さな水温計がありますよ。
ヒーター・クーラー(冷却ファン):水温の調整
ボトルや小さな水槽は水温が上下しやすい上に、このような道具が使いにくいと言うデメリットがあります。
物理的に設置できなかったり、オーバースペックで生体に悪影響が及ぶ可能性もあるからです。(例えば冷却ファンで、ただでさえ少ない水が蒸発してしまうなど)
私も3L水槽の時はヒーターやファンの導入が難しかったので、エアコンで室温を調整していました。
スポイト・ピンセット・小さなシリンジ:メンテナンス
スポイトは、足し水や底床の清掃など毎日のように使っています。最初は小さなものを買って、あとで大きなものを買い足しました。
ピンセットは、切れた水草やエビの食べ残しを取り除いたり、レイアウトを調整するときなどに使っています。最初は全て割り箸でやっていたのですが、もしかしたら使用されている防腐剤や漂白剤が小さな魚やエビには影響があるかもしれないと思い、私は止めました。殺虫剤事件から薬剤には敏感です、、
トリミングハサミと一緒に売られているので、モスを入れる方はセットであった方がいいかもしれません。
小さなシリンジは、超小型アクアリウムならではの道具です。水量が少ないので、カルキ抜きなどの添加剤や薬なども、ごく少量しか入れてはいけないからです。パッケージのとおりに計算すると1ミリリットル以下になることもざらなので、1ミリリットルシリンジが便利でした。
他には、小さなバケツやプラスチック容器、ペットボトルや100均で買った「ろうと」もよく使いました。
水質変化に弱いエビを飼う場合には、点滴みたいな感じで水合わせする必要があるので、チューブとコック、キスゴム(吸盤)を用意しておくと安心です。アクアリウムショップでバラで買えますが、「水合わせセット」なるものも売っていますので、チェックしてみてください。
使えるのは水槽限定ですが、アクアショップで見つけた「マルチカップ」という商品がこれだけで点滴を再現できるのでヘビーユーズしています。
おわりに
アクアリウムは奥が深すぎて、最初は何をしたらいいのか本当に悩みました。あくまで私の環境とやりたかったことに対しての情報になりますが、参考になれば幸いです。